引用:花田少年史
新装版 花田少年史(全5巻)
予算 3,390円(税別)
引用:モーニング公式サイト
『花田少年史』は1993年にミスタ―マガジンに発表され、1995年まで連載されました。(ミスタ―マガジンは休刊し、単行本は現在モーニングで発売されている)
その後、2002年にアニメ化され、ノスタルジックな風景や作風で話題を呼び、2003年の東京国際アニメフェアテレビ部門最優秀作品賞及び、第8回アジアテレビジョンアワード長編アニメーション部門優秀賞作品となりました。
引用:花田少年史
『花田少年史』とは、小学生男子、花田一路(はなだいちろ)を主人公とした物語で、1970年代頃の田舎町を舞台にしています。
一路は小学三年生になる腕白少年で、ヒキガエルを一槽式洗濯機のローラーに挟んだり(昭和30~40年代の洗濯機の脱水器)、犬の体に落書きをしたりするなど、悪戯ばかりしては母親を困らせています。
そんな一路はある日、自分の悪戯に腹を立てた母親の叱責から逃れようとしたがために、オート三輪にはねられ、頭に9針縫うほどの大怪我を負ってしまいます。
一路は奇跡的に一命をとりとめましたが、彼はその時から幽霊が見えるようになります。
一方、幽霊たちは一路が自分の姿が見えると分かり、自分たちがやり残したことや、心残りになっていることを一路に頼むようになります。
こうして、一路は半ば幽霊たちに強制されるように、渋々頼みごとを聞くようになるのです。
引用:花田少年史
『花田少年史』の物語は、田舎に住んでいる少年が幽霊の頼みごとを聞いて、それを解決するお話です。
特に大事件に発展するわけでもなければ、とてつもない極悪人が出てくるわけでもありません。
頼み事も些細なことばかりです。
しかし、そんな些細なことでも幽霊たちにとっては大事なことであり、この世の未練の元なのです。
例として、単行本第1巻に収録されているエピソード(第3話)、「ユキ」という少女の幽霊にまつわるエピソードを紹介しましょう。筆者のおすすめのエピソードでもあります。
このユキという幽霊は病弱で、人生のほとんどを病院で過ごしていました。
ある日、彼女は知り合いになった大工の青年、青田清司に頼んで、一緒に夜祭でかけたのです。
自由に外を出歩けなかったユキにとって、それはかけがえのないひと時でしたが、ユキの体調は悪くなり、そのまま亡くなってしまいます。
この時ユキは、夜店で清司からあるものを買ってもらいました。
夜店で買った品物なので些細なものなのですが、それは彼女が初めて恋した男から貰った大切な物なのです。
一方、ユキの父親は清司のしたことが、ユキの病状を悪化させた原因と思って、彼をなじり、彼女にあげたはずのあるものを彼に叩きつけたのです。
清司はこの一件で心に深い傷を負ってしまい、やさぐれてしまったのです。
そして、ユキにあげたものを形見として持っていたのです。
ユキは清司に立ち直ってもらいたい一心で、清司の心を縛り付けている自分の形見を持ってきてほしいとお願いをしたのです。
引用:花田少年史
このように、基本的には幽霊の頼み事は些細なことなのですが、当の本人とってはとても大事なことなのです。
一方、些細な頼み事とはいえ、一路は元気が取り柄なだけの普通の小学3年生なのです。
やれることもできることも限られています。
ユキに頼まれて一路は清司のもとに訪れるのですが、小学3年生にとって、知らない大人の家に行くことだけでも勇気がいります。
おまけに本編に登場する清司は、刺青をしたチンピラ風の青年だったのです。
しかも、死んだはずのユキのことを口にしたので、一路は清司に胸倉を掴まれてしまいます。その時、一路は恐ろしさのあまり失禁してしまったのです。
このやり取りが、ギャグとして表現されていますが、一路にとっては災難としか言いようがありません。
つまり、この漫画は幽霊たちの思いや未練にまつわるドラマと、それに巻き込まれる小学生のドタバタギャグが入り混じった作品と言えます。
引用:花田少年史
本編では、漫画の舞台になっている時代をはっきりと明言している箇所はないのですが、周囲の小道具を見てみると、70年代くらいの昭和の田舎町であることはわかります。
例えば、オート三輪は70年代にはすでに販売はされなくなっていますが、オート三輪の積んでいる荷物をよく見てみると材木です。
実はオート三輪は小回りが利いて、狭い場所の荷物運びには最適だったので、70年代初期の林業には欠かせなかったのです。
さらに、主人公一路の住んでいる家の洗濯機はローラーで脱水をしています。
これは昭和30年代から40年代にあった洗濯機の特徴です。
引用:花田少年史
『花田少年史』が連載されたのは1993年です。
この時代は70年代に少年であった人達が大人になっている時代です。本編の主人公は小学生ですが、連載されたのは青年誌です。
つまり、花田少年史は、70年代頃「少年」であった人たちへ向けた漫画であるといえます。
何故なら本編で語られるエピソードは、一路だけでなく、周囲の大人たちにもスポットが当たっているからです。特に独り者が登場するエピソードが多いようです。
例えば第2巻で、一路の親友、壮太の母と一路の同級生の女の子 桂のお父さんが結婚するエピソードが語られます。壮太の母はシングルマザーで、桂のお父さんも独りで桂を育てたのです。
独り身で子供を育てるなんて大変そうですが、辛そうには見えません。
なぜなら、助けてくれる人たちがいるからです。
2人の縁談を取り持ったのは近所のおばあさんです。
そして、結婚式や引っ越しも近所の人たちが協力してやってくれたのです。
婚活という言葉がない頃、縁談は世話焼きの隣近所の人間がやってくれました。
昭和の田舎町では独り身でいる人がいたら、何かと世話してくれたり、助けてくれる人が居たということです。
つまり、この回で分かるのは、昭和の時代には独り身でいても世話を焼いてくれたり、何かと手助けしてくれる人たちが多かったということです。
現在、冠婚葬祭は企業が取り持つことが多いのですが、費用が高く、現在では結婚式をやらない人が多くなっています。
しかし、昭和の時代は近隣の住民たちと協力して、ささやかでも楽しい式を挙げることができたのです。
今の時代には見ることのできない、昭和の時代ならではの利点と言えるでしょう。
引用:花田少年史
『花田少年史』は主人公である一路だけを物語る漫画ではなく、少年時代に戻って、昭和という時代や、あの時代に生きていた大人達のドラマを見てみる物語なのです。
つまり一路は主人公でもあり、大人になった読者たちに、あの当時にいた大人達のドラマを物語る語り部でもあるのです。
そこには少年時代にはわからなかったり、見ることのできなかった大人たちの悩みや意外な一面、そしてドラマを見ることができます。
大変だったこともあれば、現代では失くしてしまった美点や利点を見ることができます。
現代という時代に少々疲れてしまった独身貴族の方は、『花田少年史』を手に取って、読んでみてください。
漫画のページをめくれば、あの古き良き昭和の悪ガキ一路の案内によって、あの懐かしの田舎町に行くことができます。
そこには現代にはない「活気」にみちたあの懐かしいの空間がまっています。
少年の視点で見ても、大人の視点でみてもこの漫画は面白いのです。
漫画は全部で5巻まで出ているので、まとめて購入するには最適の漫画です。まずはリラックスしてあの昭和の世界を楽しみましょう。
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大人におすすめする『アホガール』はヒロユキ先生によるギャグ漫画です。『週刊少年マガジン』にて2012年52号から2015年12号まで連載したあと、『別冊少年マガジン』に移籍して2015年7月号から2018年1月号まで連載されました。コミックスで全12巻発刊されています。
主人公の花畑よしこは学力テストで全教科0点をとるほどのとんでもないアホな女子高生。そのアホさゆえに周囲をさまざまなトラブルに巻き込んでいくが、当の本人はそんなことは一切気にせず自分の本能のままに生きていく。
もう一人の主人公で同じ高校に通う幼馴染の秀才阿久津明(あくつあくる)通称「あっくん」がよしこを社会に解き放ってもいいように更生をこころみるが、ことごとくよしこのアホさに打ち砕かれてしまう。
その他の登場人物もくせ者が多く、ムッツリスケベな風紀委員長や、あっくんと友達になりたい不良・黒崎 龍一(くろさき りゅういち)など個性的なキャラクターが揃っています。
一見まともな人物もよしこのアホさと強引さによって次第に本性をさらけ出してしまいます。
ここまでアホになれとは言いませんが多少気楽に考えた方が大人になった今の人間関係はうまくいくかもしれません。思わずそんな風に考えさせられる漫画です。
アホ過ぎて残念なヒロインよしこは考えなしの行動で日々周囲をトラブルに巻き込みます。ですが周りの人間もあきれながらもなんだかんだ手を貸してくれるんですよね。
最初はよしこを厄介者扱いしていたクラスメートのギャルたちも徐々に心を開いてくれるようになりますし、担任教師の押枝あつこ(おしえだ あつこ)には逆によしこが恋愛相談に乗る関係になったりもします。
頭は悪いですがどこまでも前向きな姿勢と行動力で周囲も巻き込まれ影響を受けていきます。
よしこの幼馴染、阿久津明(あっくん)は成績優秀。志望校は東大で将来社会にでることを考え日々勤勉に努力を重ねています。しかしその真面目さとプライドの高さのせいで実は友達がよしこ一人しかいません。趣味は一人神経衰弱というよしこに負けず劣らず痛い趣向を持っていますが、当初自覚はしておらず周囲からは孤独で寂しい人という可哀そうな目で見られていました。
しかしよしこと周りの友達によって少しずつ人との交友を増やしていきます。夏休みにみんなで旅行に行ったり、修学旅行でみんなに行動を合わせたりする姿は微笑ましいです。
基本的にはよしこの暴走を止めるツッコミ役としての立ち回りが多く、しつこく迫ってくるよしこに辟易していますが、それにも負けずよしこの面倒を見つつ学力学年一位を目指すという意志の強さには感服します。
よしこ達の同級生で不良だった黒崎 龍一(くろさき りゅういち)。ひょんなことからよしこのことを慕うようになり、あっくんとも友達になりたいと願うようになります。あっくんと近づきたい一心で猛勉強をした結果あっくんの成績を上回り学年一位をとってしまいます。しかし自分を超えられたことからあっくんにはやはり嫌われてしまうのですが、それでも友達になりたいという一途な思いでここまで変われたらすごいですよね。
よしこは、暇さえあればぶらぶらと出歩き、公園などに出没します。
近所の小学生との交流がきっかけで、小学生と遊ぶことが増えていきますが、よしこのアホさは小学生が思わず心配するほど、、、。
大人になって就職した今だからこそ、笑えてしまうギャグ漫画です。
よしこのアホさと小学生とのやり取りは、笑うこと必見です!
よしこのテスト点数は、毎度散々なものですが。
ある日マークシートの問題で、0点を取るなど、天文学的な結果を出すことがあります。
天才とアホは紙一重かもしれません。
よしこの家に保険の販売員が営業に来たときの話です。家にはよしこしかおらず対応するも保険が何かもしらないよしこに販売員の女性も困惑します。しかし販売ノルマを上げたい女性は懇切丁寧に保険とは何かということを紙芝居で説明します。保険はなぜ大事なのか、おじいさんがもし亡くなってしまっても残されたおばあさんは保険によって安心を得られるとよしこに説きますがよしこは「その安心のせいでおじいさんは生きるという強い意思をもてなかった」「保険が生きられた可能性を下げていないと言い切れるのか」というようなことを言い女性を黙らせてしまいます。
常人じゃない生命力と本能で生きるよしこには並みの営業トークは通じませんでした。何事も保険を掛けて生きがちな現代社会ですが、よしこのように後先考えず思うがままに生きられたらいいなと思うエピソードでした。
ある意味人間力の高いよしこに大人の私たちも考えさせられるエピソードが詰まった漫画『アホガール』はおすすめです。
『アホガール』は漫画版で全12巻。四コマ形式とストーリー形式で連載されました。
大人になった今、漫画を読む時間を取るのが難しくなっていますが、基本四コマ形式なのでテンポよくスラスラ読むことができます。
大人になった忙しい時間でも、一気読みができて全然疲れませんよ。
よしこの強力なボケとあっくんの痛快なツッコミ。そして周りの個性的な仲間と共に愉快な人間模様が描かれる漫画『アホガール』。小さな悩みやストレスなど吹き飛ばしてくれること間違いないでしょう。
独身貴族がおすすめする大人にこそ読んで欲しい漫画『アホガール』を一気読みしてはいかがでしょうか。
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引用:ハイスコアガール
ハイスコアガール全10巻
予算:6,280円(税込)
引用:ハイスコアガール
ハイスコアガールは押切蓮介による、ラブコメディ作品。「ハイスコアガール」というタイトルからも分かるように、ゲームが物語の中心となっています。対戦型格闘ゲーム、所謂格ゲーブームであった1990年代を舞台としており、格ゲーを通じて偶然知り合った主人公・山口春雄とヒロイン・大野晶の2人の小学生から高校生までの青春を描いた漫画です。
まず、作中のメインキャラクターとなる2人をご紹介します。
主人公:山口春雄。ゲームに目がなく、ゲーム以外に全く関心がない。当然学校の勉強は疎かになっている。小学生時代はやる気のないダメダメな生徒であったが、大野晶と出会い、少しずつゲーム以外に対する姿勢も変わっていく。高校受験では、成績優秀で完璧な晶の存在に近づくために同じ高校へ入ろうと猛勉強をします。
メインヒロイン:大野晶。ラブコメのヒロインとは珍しく、作中ではほとんど喋らず、他キャラクターのようにふきだしがつくことも極めて稀です。しかし、おいしいものを食べる時やゲームを目の前にわくわくしている時など表情がとても豊かで、言葉なしに気持ちが伝わってきます。まさに目は口ほどに物を言うという言葉がぴったりな可愛くて魅力的な女の子です。
ゲーセン通いに明け暮れる小学6年生の主人公・山口春雄はある日行きつけのゲーセンで、ヒロイン・大野晶に出会う。下町のゲーセンに不釣り合いな成績優秀、容姿端麗、財閥のお嬢様である大野晶は、実は凄腕のゲーマーだった。
自分のゲーマーとしての腕に自信のあったハルオは、ゲーセンとは縁遠いと思っていた晶と対戦し、完全敗北してしてしまう。初めは晶を目の敵にしていた春雄だったが、しだいに晶のゲームに対する姿勢やゲームの実力を認めるようになり、尊敬にも似た感情を抱くようになります。
小学生、中学生、高校生と成長するにつれ、少しずつ少しずつ2人を取り巻く環境や関係性が変化していき、読んでいるうちにいつのまにか正反対な2人の関係に目が離せなくなっていきます。
既にご紹介した通り、ハイスコアガールは1990年代のゲームセンターを舞台としています。そのためストリートファイターや餓狼伝説、バーチャファイターといった当時大人気だった格ゲーやそのゲームキャラクター達が多く出てきます。実際にその時代を生き、格ゲーにハマっていた大人の男性は多いのではないでしょうか。そのような男性に刺さること間違いなし、昔懐かしいあの頃の感情を思い出すことができます。
出典:ストリートファイターⅡ
春雄と晶の出会いはストリートファイターⅡの対戦でした。ゲームしか取り柄がないハルオは晶に惨敗したことが許せず、禁じ手とされていたハメ技を使って晶の怒りを買ってしまいます。これが2人の長きに渡る、因縁の始まりとなっています。
初対戦時の晶は、扱いが難しいとされるザンギエフというキャラクターを器用に使いこなし、ハルオを追い詰めていきます。
当時実際にストリートファイターⅡをプレイしていた方は、コマンドやゲームキャラクター、技が出てくる度に、思わずわっと興奮してしまうのでは?
対戦の後、お互いのゲームに対する気持ちを認め合った2人は、同じ筐体で協力プレイをしたり、また対戦したりして、一緒にゲームで楽しく遊ぶことも増えていきます。
引用:ハイスコアガール
ハイスコアガールは格ゲーが話の中心となっていることから、男性向けの作品だと思ってしまう方も多いのではないでしょうか。ところがハイスコアガールは主人公ハルオとヒロイン晶のゲームを通じた成長と、恋愛関係が大きなテーマとなっているため、ゲームを知らない女性にも楽しめる内容となっています。筆者もゲームは殆どやりませんが、面白いと思える魅力がハイスコアガールにはあります。
中学生編では日高小春というキャラクターが登場します。作中のサブヒロインとなっており、ハルオの心の成長に大きく関わる存在になっています。
日高は無口なヒロインの晶と違い、明るく積極的な女の子です。ハルオがたまたま遊んでいたゲーム機が置かれていた駄菓子屋の娘で、同級生のハルオと話をするようになります。ハルオのゲームプレイを後ろから見ているうちに、次第に心惹かれていきます。
ゲーム以外に関心がなく、特に恋愛ごとには疎いハルオ。ヒロイン達の気持ちに気付けよ!と思わずツッコミたくなってしまいます笑
引用:ハイスコアガール
漫画ハイスコアガールはたった10巻で完結しているため、大人になって忙しい中でも、1日でぱっと読めてしまうボリュームです。そのため、普段は時間がないといった大人の男性や女性も手が出しやすいようになっています。今日は漫画を読んでゆっくり休みたいな、という時、漫画ハイスコアガールは生活に癒しを与えてくれること間違いありません。
また、6000円台で購入できてしまうので、ちょっとしたプレゼントにもちょうどいいのではないでしょうか。
ゲームに明け暮れていた思春期の思い出に浸りたいあなた、また学生時代の初々しい恋愛漫画を読みたいという独身貴族の大人の方々にすごくおすすめできる漫画です。たった10巻で主人公ハルオと共に、小学校から高校生の青春を思い出すことが出来ます。ぜひ、手にとって読んでみてはいかがでしょうか。
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引用:町田くんの世界
町田くんの世界(全7巻)
予算 3,080円(税抜き)
あなたはどんな漫画が好きでしょうか、またその昔どんなストーリーに夢中になったでしょうか。例えば、人を越える特殊な力を持ったヒーローが悪者を次々となぎ倒す話とか、弱小野球部が猛特訓して甲子園で大活躍する話とか。はたまた、美男美女でありながら幾度もすれ違い、なかなか恋を成就できない切ないラブストーリーだとか、完全犯罪をたくらむ殺人鬼のトリックを暴く探偵ミステリーとか。何かこれを読んでいるだけでもワクワクしてきませんか。
漫画っていいですよね、私は大人になった今も大好きです。作品によってはストレス発散になったり癒しにもなったり。今は青年漫画や成人漫画という言葉もあるくらいですから、大人が読む漫画も一定の社会権を得たということでしょうか。漫画は忙しい現代人の心の衛生を充足させる、そんなコンテンツの一つにまで成長したと思うのです。
ふと見回せば、どんな新聞にも雑誌にも四コマ漫画や歳時記のような漫画が掲載されています。新聞の難しい政治面で目にする風刺画さえも一コマ漫画の一種なのですから、ある意味、社会全体が漫画を影響力のあるものと認めているのだと思うのです。手塚治虫や長谷川町子は漫画を描いて国民栄誉賞をもらっていますし、国策としてのクールジャパンは「ジャパニーズアニメ」や「manga」にも大きく焦点を当てています。
漫画の表現方法も随分と変化して来ているように思えます。漫画から派生したとり・みきや江口寿史、わたせせいぞうの商品としてのイラストにも「ハイセンス」や「お洒落」の文字がよく充てられています。そういう意味で日本は世界でも類を見ない「漫画が育つ国」なのだと思うのです。
引用:町田くんの世界
漫画の魅力の一つは、ヒーローものにしても恋愛ものにしても「ハラハラドキドキ」がキーワードなのだと思います。次回も続けて読みたいと思う心理、それが次号・次巻も手に入れたいという購買欲につながり、漫画(雑誌)の発行が商売として成立しているのだと思うんですね。
今回独身貴族がおすすめする漫画『町田くんの世界』にはそのハラハラドキドキがほぼありません。いわゆる「いかにも漫画らしい」事件がほとんど起こりません。多少俯瞰すれば、漫画らしさ成立させる物語はあるのですが、それは読者にだって起こり得る日常レベルの物語ばかりで、他の漫画に見られるハラハラドキドキする「漫画物語」は起こらないのです。漫画『町田くんの世界』では事件が起こらないのが普通であって、気取った表現にはなりますが、「何もないがある物語」があるだけなのです。能動的にそんな何もない時間に触れられるのはとても貴重な体験なのでは…と思うんですね。
主人公・町田一(まちだはじめ)は普通の高校生です。特別な能力もなく、勉強も運動も平均以下、恐らくあなたが今まで読んできた漫画の主人公像とは大きくかけ離れた存在です。人と接することに直線的な鈍感さを持った主人公です。その一が平凡な日常を自分の主観で分析し物語は進んで行きます。独白が多いのもこの漫画の特徴です。
何もない一(はじめ)に不思議と人が集まります、一を中心として人の輪が作られ、愛情の輪が広がって行きます。漫画らしい「人知を超越したセンシティブな感性の持ち主なのでは?」と読者が一を過大評価しようとすると、タイミングよく「そうではないのか…」なる残念エピソードが挟まれます。しかし、返ってその残念エピソードが引き金となり、一人二人と…、登場人物が一に魅かれて行くように、読者であるあなたもだんだんと一のことが気になって行くと思うのです。
引用:町田くんの世界
第十六話「流れる世界」は中学時代の同窓会の話です。同窓生で一番のイケメンであるモデルの氷室がスポットライトを浴びるのかと思いきや、人の輪が大きく出来たのは意外と一の方でした。一の人としての魅力、人間力みたいなものをそっと感じるエピソードです。
この回は、高校生活がうまく行かずに心を閉ざしていたクラスメイト・青池の心を一が溶かすという、感動にあふれる回でした。その青池に掛けた一の言葉
には深いものがありました。青池に掛けられた言葉でもあり、読者にも投げ掛けられた言葉でもあったのかなと思います。漫画『町田くんの世界』にはこのような感受の範囲が限定されないセリフがいくつも出てきます。
当の本人、一には「人を説得しよう」とする気持ちなどない…ように描かれています。セリフのピュアさが主人公である一さえ越えてゆく、ここに読者が心打たれる瞬間があるのです。既成の価値観にない読後感の良さがこの漫画『町田くんの世界』にはあります。この漫画をおすすめしたい理由はここにもあります。
引用:町田くんの世界
アメリカのテレビドラマ『刑事コロンボ』を知っていますか。実はとびきり有能であるコロンボ警部があえて愚鈍な刑事を演じ、犯人を油断させて事件を次々と解決して行くドラマ。コロンボ警部の現実(切れ者)と演技(さえない男)の隙間を行ったり来たりする姿に視聴者はドキドキさせられたものでした。
それと似た感覚を一に感じることが多々あります。第1巻127ページ。寂しいを寂しいと素直に言えない猪原(同級生の女の子)が恋心から「もっとかまってよ」とうっかり一に言ってしまう。そして後日、冷静さを取り戻した彼女が「あれ嘘だからさ、忘れてね」と笑って言う。
引用:町田くんの世界
その時の一の独白
は、この漫画で初めて見せた彼の鋭さでした。彼は漫画の中で「滑稽」と「確信」を見事に揺れ動いています。「何やら含まれているキャラクターなのでは?」と読者がそれぞれの一像を広げ始める瞬間です。漫画家・安藤ゆきの持つこの瑞々しい五感は素晴らしいです。第一巻を読んだだけで、大人のあなたもきっと一を気になり始めると思うのです。
引用:町田くんの世界
全編を通して一と猪原の淡い「恋の手前の気持ち」が描かれています。第5巻「よく分からない…恋……?」、母親に質問を投げ掛けるスタイルで一が恋を自問自答するシーンがあります。「変よね、変な気持ちよねえ」が母親の出した答え。猪原がいい人過ぎて、一が鈍ぶ過ぎて、読者の「あー、もー。乙女心を分かってないなあ」が最高に心に気持ちいい一連です。こんなやり取りに鮮烈なポエジーを感じるのはそこに作者の言葉がないからです。何も考えさせられない読者の贅沢な時間がここにもあります。
読み進めても次の物語への期待感は他の漫画に比べれば、もちろんいい意味で、高まることはありません。ただ、正直、物語の先は少しだけ気になります。まるで他人の日記を偶然目にしてしまったような、「その次の日」を知りたくなる気持ちです。一の「恋の手前の気持ち」がだんだんと具体化する(恋の形になって行く)のですから…光り過ぎて見えない向こう側には何があるのだろうと目を細める感覚でしょうか。
一が自分の気持ちを恋だと気付いたのはずっと後になってからです。第7巻54ページ
と初めて自分の恋を認識し、二人の友人に告げるシーン。近いのか遠いのか分からない猪原との透明な距離に「恋」という答えが出た名場面です。こんなドラマチックなシーンに少しも漫画ぽさがないのも不思議でなりません。
引用:町田くんの世界
漫画『町田くんの世界』では、何度も出て来るキーワードです。この言葉には何も期待しなくていい心地良さがあります。仕事のスケジュールが埋まらないと不安になるワーカホリックや、交友関係欄に何も予定がないと寂しく感じるな「プチ他人依存」の方には、ぜひこの漫画を読んでこの言葉の真意を読み解いてもらいたいです。
引用:町田くんの世界
第3巻に出て来る勉強至上主義の小学生・桐谷育に掛けた言葉。「人の冷たい心を温かく溶かしてやろう」など一が思うはずもありません。そんな器用さがあればもっと早くに恋は成就しているはずです。私性を越えて伝言される言葉、後は相手の受け取りようなのだなと、ふと感じたセリフでした。
第5巻149ページのセリフ。恋に悩む自分から告白できない引っ込み思案な女の子・長崎美希に掛けた言葉です。特別かっこいいことは言っていませんが、一が口にすると不思議な湧出感があります。
恋に関する一の自問自答はラストシーンまで続きます。第7巻57ページ「いいところなんて何ひとつないのに(どうして自分のことを好きになってくれたのだろう?)」と人並に悩む一が、この段階ではすでにこの上なく愛おしくなっています。恋愛漫画は別れたり、けんかをしたり、恋のライバルが現れたりと、わりとハラハラ要素がたくさん絡み合ってドラマが展開されますが、一の恋は猪原との一対一、一が恋を理解できていないのである意味0.5対1の、異質なラブストーリーだと言えます。
物語は最終的には救いがちゃんとあって、一が家族に猪原を紹介して…で終わります。感動のラストシーンはあなた自身でページをめくって頂ければ。さて続きは…と思ってもこれで完結です。一抹の寂しさとともに、「何も考えることなく」町田一の青春の一ページに参加できた喜びでいっぱいになると思います。
「いい漫画に出会えたな」ではなく「いい時間を過ごせたな」と思える漫画。そして、なぜか人におすすめしたくなる、そんな大人に読んで欲しい漫画です。漫画『町田くんの世界』ぜひ!
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引用:親の雑誌
親の雑誌
予算 150,000円(税抜き)
考とは…子供が自身の親に忠実に従うことを示す道徳概念。
引用:wikipedia 孝
すなわち親孝行とは親が貴方に対して、行ってほしいことをやってあげることとなります。
しかし親自身が自分のやってほしいことを言ってくれることはあまりありません。
それならば、ほとんどの人がやっていないが、親が喜んでもらえることを先に考えやっていくことこそが、独身貴族の親孝行と私は考えております。
引用:親の雑誌
「親の雑誌」とは全く新しい親孝行の形です。
「親の雑誌」=「自分の人生を語る」×「人生が自分史になって誇らしい」×「親子のコミュニケーションがうれしい」
「誰かに自分のことを話したい!!自分の出来事を聞いてほしい。」
そんなことを思ったことはありませんか?
「親の雑誌」ではインタビュー取材をします。
そのため、親に人生を振り返ってもらいながら、話をしてもらいます。
辛いことや楽しいこと人生には様々な出来事を体験してきたことでしょう。
また「親の雑誌」ではインタビューをするのは「聞く」プロが傾聴ベースにした独自の方法論を指導されたコミュニケーターが一人一人を取材します。
「こんなに話をできたのは久しぶりだ!!」と思って、ついつい話をするのが、楽しくなるかもしれませんね。
貴方の人生史が雑誌となって、創刊されるとどんな気持ちになるでしょうか?
「親の雑誌」はインタビューで、取材した内容が雑誌として作成されます。
コンビニに置いているような雑誌の形で、貴方の雑誌が出来た時はどんな気持ちになるでしょうか。
貴方の親は誇らしくなり、そして子供へ感謝だけではなく、自分で振り返る良い機会になること間違いないです。
「自分史」を見ることにより、親の新しい面を発見できます。
新しい面を発見により、会話が生まれることがあるかもしれません。
この機会に双方に感謝や新しい面の発見を喜ぶこと間違いありません。
引用:親の雑誌
そして「親の雑誌」を作成する流れとしては、以下となります。
プレゼントを一から作り上げていくというので、当然手間がかかりますが、その分、親への感謝が伝わるでしょう。
①ネットか電話で申し込む
②準備キット送付・取材日について電話(メール)での打ち合わせ
③貴方の親の住まいを訪問し、インタビューを実施
④複数回の電話インタビュー(プランによる)
⑤インタビュー記事原稿を確認
⑥訪問取材から約2~4か月後に完成版の雑誌をお届け
引用:親の雑誌
自分史作成サービス「親の雑誌」はメディアでも紹介されました。
これは「親の雑誌」が世の中に素晴らしいサービスであるという証拠の一つではないでしょうか。
・がっちりマンデー!!
・ノンストップ
・とくダネ!
・日本経済新聞
引用:親の雑誌
貴方の友人、仕事仲間などに「親の雑誌」の存在を教えてあげてはいかがですか?
貴方の大切な繋がりの先に、「親の雑誌」との出会いで人生が変わる人がいるかもしれません。
1人のことを知る事は、とても難しいこと。一生かけてもわからないかも。ただ、このサービスを利用することによって、1人の人生の断片を知ることができます。
また、近年「終活」という言葉が一般的に知れ渡っており、「終活」の一つの手段としても活用できるかもしれません。
たった一言、この「親の雑誌」を紹介することによって、誰かの人生が充実した豊かなものになると思いませんか?
貴方は感謝を伝えることは出来ておりますでしょうか。
特に貴方を生んでくれた、親には感謝しても感謝しきれないでしょう。
しかし日頃の感謝を伝えるにもどのような形で伝えたらいいか迷うこともあるはずです。
そんな恥ずかしがり屋の独身貴族の方には、「親の雑誌」は如何でしょうか。
「親の雑誌」を通して、親は自分の人生を語ることができ、その人生を雑誌に残すことが出来ます。
そして出来た雑誌を見て、家族での会話が更に生まれるはずです。
「親の雑誌」を通して、親孝行をしてみませんか?
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出典:湯神くんには友達がいない
湯神くんには友達がいない全16巻
予算 6,720円(税別)※小学館eコミックストア
出典:湯神くんには友達がいない
独身貴族がおすすめする漫画『湯神くんには友達がいない』は佐倉準先生が描く少年漫画。「友達がいない」湯神くんとその周りにいるごくふつうの人達の織りなす日常を描いたコメディ漫画です。
究極のマイペース人間湯神くんは、周りからの変人あつかいにもお構いなし。いつも楽しそうにしています。この漫画にでてくる湯神くんは、常に周りに気を遣いながら生きている大人には言えない正論を貫き通します。大人になるほどできなくなる大人気ないことを、漫画のなかで疑似体験できてしまいます。
漫画『湯神くんには友達がいない』は全16巻で完結しているので、最後まで一気に読むことができます。この漫画には何度も読みたくなる面白いエピソードが満載です。繰り返し楽しく読めるので、大人社会のストレスに負けずに頑張っている自分へのプレセントに大人買いするのもおすすめです。
筆者は夜寝付けないとき、笑いあり癒しありのこの漫画を読むとすぐに寝つけます。1話だけ読んでも楽しめるコメディ漫画なので、少ししか時間がないときのストレス発散にもおすすめできます。
出典:湯神くんには友達がいない
漫画『湯神くんには友達がいない』の湯神くんは野球部のエースで勉強もできるハイスペックな高校生ですが、マイペースに『ぼっち』を楽しみ、自分の興味のあること以外には関わりません。いつも全力で一人を楽しんでいる湯神くんは、周りの人々に対して言いたいことを言うので、クラスメートからは面倒くさい存在として距離を置かれています。
友達は必要ないという湯神くんの周りには近づかないと決めている人も多いのですが、いろんなタイプの優しい人達が集まってくることもあります。周りの人達のふつうに優しい様子に筆者はいつもホッと癒しを感じます。独身貴族サイトをご覧の大人のあなたにも、癒してくれるおすすめ登場人物達を紹介します。
それではまずクラスメートの湯神くん評をご覧ください。
引用:1巻 14ページ
変で面倒な湯神くんにクラスメートはあまり近づきません。そんななかヒロイン綿貫ちひろが同じクラスに転入してきます。
湯神くんのクラスに転入してきた綿貫ちひろは優しく真面目ですが少し不器用で、転校を繰り返す度にだんだん友達を作るのに消極的になってしまった女子高校生。今度の高校には長くいられそうなので、今度こそ友達を作りたいと思っています。
新しい高校に転入した初日の朝、ちひろは偶然湯神くんに出会います。親切にしてもらったちひろは、湯神くんとも仲良くなろうとするのですが…。ちひろはこの出会いをきっかけに、どんどん湯神くんの世界に巻き込まれていきます。
湯神くんは変人、とわかっていながらも湯神くんのペースに引き込まれるちひろ。ごく普通の感覚を持っているちひろと湯神くんは全く噛み合いません。湯神くんと完全に噛み合わないながらも、頑張ってなんとかしようとします。事態が悪化することもありますが、ちひろの一生懸命な様子には癒されます。
ちひろが湯神くんフォローに失敗したときには、ちひろの転入前から湯神くんに関わっていた人達が活躍することも。湯神くんが所属する野球部の面々です。
引用:1巻61ページ
野球部が大好きなマネージャーは、教室ではクラスメートとしては湯神くんをスルーしたいと思っています。しかし野球部のエース湯神くんはスルーできない存在です。湯神くんをよく知るマネージャーは、湯神くんに巻き込まれるちひろを何だかんだと構ってやる癒しの存在です。
引用:3巻78ページ
野球部のキャッチャーは少年野球のときからのくされ縁。湯神くんを変えようとはせず、常にフォロー役です。湯神くんと長く付き合っているためか、たまに悟った人の様なことを口にします。彼の何かを諦めたかのようなセリフには不思議な癒し効果があります。
独身貴族を閲覧中のあなたも、湯神くんの横にいるちひろや野球部の面々に癒しを感じてみませんか。
出典:湯神くんには友達がいない
湯神くんは数々の迷言を紡ぎ出します。独身貴族が選んだストレスフリーな湯神くんのセリフを少しだけお楽しみください。
引用:1巻69ページ
ここまで言い切れれば、人間関係のストレスは皆無です。真似はできませんが少し羨ましい!?
引用:1巻88ページ
他人を頼る羽目…!!湯神君のおひとり様っぷりがにじみ出ています。もしも湯神くんが実際にいたら、筆者は遠くから観察するだけにしたいところです。
実際に湯神くんのような迷言を発することは、ふつうに生きている大人には難しく危険ですよね。湯神くんの迷言は使わずにストレスがたまってしょうがない時にこっそり唱えてみるのをおすすめします。
独身貴族をご覧のあなたも、ストレスがたまったときに漫画『湯神くんには友達がいない』を読んでみてください。最後までお読みいただきありがとうございました。
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出典:プラネテス1巻
プラネテス全4巻
予算 2,647円(税別)
モヤモヤしている大人におすすめしたい漫画『プラネテス』は幸村誠先生によるSF作品。宇宙ゴミ(デブリ)を回収する青年・ハチマキを中心に描かれるヒューマンドラマが魅力的です。
世界観はSFですが、作中で生きているキャラクターはあくまでひとりの人間。
現実を生きる私たちと同じように仕事に悩み、人間関係に悩み、ときには逃げたり立ち向かったりしながら、不器用に歩んでいきます。だからこそ共感できる部分が多い。宇宙を身近に感じながら、心と向き合うきっかけをくれる作品だと、筆者は感じています。
もちろん彼らが過ごす環境は、規模も危険度も地球とは大きく異なります。
小さなネジひとつでも高速でぶつかればシャトルを壊すほどの威力になる。命綱が切れれば広大な宇宙に取り残される。そんな死と隣り合わせの場所で、命を懸けて働いているのです。
宇宙放射線や低重力など、未知の危険も。月で生まれた少女、宇宙で死ぬことを選んだ老人などを通して、宇宙とのさまざまな付き合い方が描かれます。
こうした環境や人との出会いをきっかけに成長していくハチマキたちの姿も、本作の見どころでしょう。
出典:プラネテス4巻
アニメ版『プラネテス』で映像化されたのは第2巻のPHASE10付近まで。以降は、アニメと漫画で物語が分岐していきます。
ハチマキの名前の由来や、新人デブリ回収作業員・タナベの意外な過去など、アニメでは語られなかった部分も読みごたえがあります。
筆者がとくにおすすめしたいエピソードが第4巻PHASE19~24。デブリ回収船の船長であるフィーにまつわるお話です。読了後はスカッとすること間違いなし!
これまでフィーは、どちらかといえば強い女性として描かれてきました。しかしPHASE19~24で見せるのは、また違った側面。
息子との関係に悩む母親として、そしてあきらめることに慣れてしまった大人として、モヤモヤした気持ちを抱えて生きているのだとわかります。
宇宙で戦争を始めようとする大国の陰謀に巻き込まれていることに気づいたフィー。いつものように「仕方ない」とあきらめようとしますが、ふと反抗期の息子のことや、少女時代の苦い記憶が頭をよぎります。
我慢できずに船を飛び出し、大きな機雷を蹴りながら思いのたけを叫ぶシーンは圧巻!
独身貴族を閲覧している方の中には、仕事やプライベートで理不尽な経験をした人もいるでしょう。筆者も同様で、「大人になるってあきらめることなのかなあ……」とモヤモヤしたことも。
しかし漫画版『プラネテス』で自分の気持ちに従って生きるフィーを目にしたとき、「大人になってもあらがっていいんだ」とすっきりした気持ちになれました。
出典:プラネテス2巻
漫画版『プラネテス』は作中の言葉も魅力的。とくに大人の心に刺さるような、ハッとさせられるセリフがたくさん登場します。ここでは筆者が独断と偏見で選んだ3つのセリフをご紹介!
(第2巻P.244より引用)
なにを犠牲にしてでも夢をかなえようとしていたハチマキが、周囲の愛に気づいた瞬間のセリフ。
世の中はすべてつながっていて、無関係なものなど存在しない。まるで自分の存在を認められたような、優しさにあふれた言葉ではないでしょうか。
(第2巻P.218より引用)
いい宇宙船員の条件を聞かれたハチマキの母が口にした言葉。「必ず生きて帰ってくること」と答えたあとに言い換えたこのセリフが生活感にあふれていて、じーんときます。家族を信頼する母親の温かさ、そして芯の強さに感服する一言。
(第4巻P.126、127より引用)
無力感を抱きながらも、必死にあらがい続けるフィーのモノローグ。子どもの頃は持っていた反抗心をいつの間にか忘れていたことに気づかされます。
きっと年齢を重ねれば重ねるほど、このセリフが心にしみわたるのではないでしょうか。
漫画版『プラネテス』は全4巻。一気読みするのにちょうどいい長さです。忙しい大人の皆さんには、4巻で日頃とは違う時間の使い方をしてみてはいかがでしょうか?
また、漫画好きの友人へのプレゼントとしても、手ごろなお値段なのでは?
初めて知った方はもちろん、すでにアニメを見た方も、休日のひとときを漫画版『プラネテス』とともに過ごしてみてはいかがでしょうか。きっと宇宙と地球を行き来する、日常では味わえない人生を追体験できるはずです。
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一人を寂しいと感じたことがあるのなら、必ず読んでほしいのがこの1冊。『極上の孤独』(幻冬社)780円(税別)を退屈な移動中に開けば、そのひと時を楽しむだけでなく、これからの人生の充実度が格段に上がるはずです。
『極上の孤独』(幻冬社)
予算 780円(税抜)
『極上の孤独』(幻冬社)の著者、下重暁子さん(82歳)は元NHKアナウンサー。ランキング1位を獲得したその内容はこちら。
現代では「孤独=悪」だというイメージが強く、たとえば孤独死は「憐れだ」「ああはなりたくない」と一方的に忌み嫌われる。しかし、それは少しおかしくないか。そもそも孤独でいるのは、まわりに自分を合わせるくらいなら一人でいるほうが何倍も愉しく充実しているからで、成熟した人間だけが到達できる境地でもある。「集団の中でほんとうの自分でいることは難しい」「孤独を味わえるのは選ばれし人」「孤独を知らない人に品はない」「素敵な人はみな孤独」等々、一人をこよなく愛する著者が、孤独の効用を語り尽くす。
下重暁子さんは「日本はなぜ家族を美化するのか」という視点で描いたエッセイ『家族という病』(幻冬舎新書)も3年前に刊行し、常に家族や人の在り方について悲観的ではない「孤独」を打ち出しています。
孤独=悪ではありません。もし今あなたが一人を寂しく感じている、あるいはパートナーのことで悩んでいるのなら、今すぐこの本を手にとってみてください。たった780円であなたの孤独に対する先入観やマイナスイメージが払拭されるはずです。
『極上の孤独』で有意義な時間を過ごしてほしい場所は、飛行機の機内。
『極上の孤独』を機内で読むことをおすすめする1つめの理由は、その構成にあります。2〜3ページごとにタイトル分けされているので、移動時間に合わせキリ良く読むことができるから。小説のようにどうしても先が気になってズルズルと読んでしまうことがないのも移動中の読書には大切なポイントです。
『極上の孤独』を機内で読むことをおすすめする2つめの理由は、空間の無機質さ。社会にはこんなにたくさんの人がいるのに、自分は一人……時にはそう感じることもあるでしょう。しかしその孤独は、多くの人に囲まれているからこそ感じられるもの。広い大自然の中にずっと一人で生きていたら、そもそも孤独を感じることさえありません。
だから『極上の孤独』を読むのなら孤独を感じにくい自分の部屋、あるいは公園などの自然の中より飛行機や電車の移動空間がおすすめ。カフェは他人と同じメニューや場所を求めるという共通項がありますが、移動はただの手段。目的ではありません。他人とたまたま一緒に乗り合わせただけというその無機質さがある空間の方が、この本を読む場所としては最高なのです。
『極上の孤独』を読むことで「孤独」のメリットを知り、今よりもっと多くの幸せを感じられるようになるはず。
あなたが孤独を知れば、仕事仲間やパートナーに対しても自然と個を尊重した態度で接するようになるでしょう。それは孤独を心から理解し、楽しんでこそできるもの。自分と相手のお互いにとって一番いい距離感、接し方が、最高の人生を創るのです。ぜひ、あなたが孤独を楽しめるようになる1冊を移動のお供に。